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魚沼食創人探訪vol.5

魚沼食創人探訪

魚沼は食の宝庫です。魚沼の食を支える農家や、作り手たちを紹介させていただきます。

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魚沼に春を告げる祭り、といえば、浦佐毘沙門天の裸押し合い祭り。
 
vol5_1.jpg毎年、3月3日の節句に行われるこの祭りに、近くの川でとれる「かじか酒」がかかせない。身を切るような冷たい清流で、冬の間、じっと絶えて過ごす「かじか」は、体にたっぷりと脂を蓄えていて、この季節ならでは、の美味となる。
 
 
vol5_6.jpg 1月下旬から2月にかけて、魚沼の数奇者たちは、その「かじか」を求めて近くの河原に降りる。
酒販売店「車屋」の店主、上村拓夫さんも、その一人。
 
「子供のころから川遊びが好きで、そういう意味ではずっと昔から”かじっかとり”(かじか捕り)はしていた。大人になって本格的に始めたんだけど、きっかけは商工会の青年部で、雪祭りの時になにかこの地域独特のものをやろうか、ということで、かじか料理で出店をしたことかな」
 
 かじか漁を始めて、だいたい20年。年間200〜300匹を採る。
「別に商売してるわけじゃないから、自分用と特に欲しいという人たちの分だけだからね」
 かじかは4月から5月に産卵期を迎える。今の季節は、そろそろ牝(メス)が卵を腹に宿す時期になるのだそうだ。だから、今採っているのは、牡(オス)専門。牝は捕れても、また川に戻すのだという。
 
 かじかは、清流にしか住めない。その清流がすぐ家の近くを流れ、そこでとれた魚がこれだけうまい、というのは、やっぱりうれしい。だから、その「かじか」は、大切にしなければならない、というのは、やはり自然の心の流れなのだろう。
 

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vol5_6.jpg かじか漁には、大きくわけて二つのやり方がある。ひとつは、茅でつくった筒状のカゴを河原に沈めて漁をする‘ツヅカゴ’。そして、河原の石を一つ一つひっくり返しながらその下に穴を掘って潜んでいるかじかを追い出し、網ですくう‘ザッコスキ’。

 専用の長靴を履き、スコップと網を手に流れの中に分け入る姿は、勇壮といえば勇壮なのだが、どこかユーモラスだ。子供が川で無邪気に遊んでいる姿が、そのままよみがえる。
「去年は、あんまり雪が多すぎて、川には入れなかったんですよ」と、再び、うれしそうに河原に降りていった。

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かじかの料理といえば、代表的なものが、焼いて熱燗にした日本酒に浸す、かじか酒。その他、唐揚げにしたり、みそ汁にしたり。

 昔は、川の魚というのは、貴重なたんぱく源として、珍重された。今は、これだけ豊かになって、ほかにいくらでも魚はあるのに、なにも真冬に冷たい水の中で漁をしなくても、と思うかもしれない。しかし、雪国の季節は、私たちが気付かないほどのスピードだが、少しづつ動いていく。河原にたつと、そんな自然の営みと、じっくりと付き合えるのかもしれない。少しうらやましい気がする。

写真・文 中島太一
料理協力 さざんか

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